歯が抜ける?怖い歯周病、歯磨きしているのに治らない?歯周病を治す歯磨きとは?⑧ 何分間歯磨きすればよい?
こんにちは。冨岡歯科医院 院長 冨岡栄二です。
歯周病を治すための良い歯磨きについて、今までの院長ブログで、いろいろお話しさせて頂きました。今回は、いったい、何分間ぐらい歯磨きすれば良いかです。
何分間歯磨きすれば、良い歯磨き?
そもそも、歯磨きの目的は何かというと、「プラークを落とす!」です。プラークとは、歯のまわりについた、ばい菌が繁殖したものです。何分磨けば良いか、というと、結論としては、肝心なのは時間ではなく、磨き残しなく、すみずみまで、プラークがしっかり落とせているかどうかです。
「この水準まできれいにしたい」 ができるまでの時間が、必要な時間ということになります。
どの水準まできれいにしたい?<一般的にこのぐらいなら良い?/ 歯周病治療のために十分な歯磨き?>
歯磨きの時間のお話をする際、下のどちらの方について考えているかよって、違った側面があります。
①ごく一般の方(世の中全般の方)
②歯周病の治療をしようとしている方
世の中のすべての方(上の①の場合)が、普段から理想的な歯磨きができていればとても素晴らしいですが、難しい面もあり現実的に考える必要があります。②の場合は、一般的水準より、高い水準のよい歯磨きが求められます。
① 一般的な歯磨きの時間は?
Van der Weijden先生が1993年に、歯磨きの時間とプラークの落ち具合の関係を調べています。 この実験では、電動ブラシで2分間磨くと、一定水準までプラークが落とせていました。手の歯ブラシでは、3分後に電動ブラシの2分後と同程度の落ち具合でした。効率的に短時間で磨くには、手のブラシより、電動ブラシの方が優れていると言えるでしょう。
電動ブラシでも、手のブラシでも、一定水準に到達するまでは、磨く時間が長くなるにつれてよりきれいに磨けていました。やはり、あまり短時間では、磨き残しが多くなります。また、一定水準まで落とせたあとは、より時間をかけても、大きな変化はありませんでした。
ある程度の水準の歯磨きの時間としては、電動ブラシであれば2分(2分間のタイマーがついていて、知らせてくれる機能がついたものがあります)、手のブラシであれは、3分程度が目安になるかもしれません。
ただし、この実験では、歯間ブラシなどの補助器具を使っていませんから、これらを追加で使用すると、もう少し時間がかかることになります。
② 歯周病の治療をするには、何分歯磨きすればよい?
歯周病は、「歯のまわりにプラーク(ばい菌)がついていて、歯肉に腫れがおこっている」ということです。歯周病の進行には、普段どの程度きれいに歯磨きできていたかと、その方の歯周病に対する危険度が関係します。歯周病に対する危険度には、個人差があります。歯周病が進行してしまった方は、そうでない方と比べ、歯周病の危険度が高いと考えねばなりません。一般的な水準よりよい歯磨きをして、プラークをすみずみまでしっかり落としておく必要があります。歯周病の治療では、この歯磨きの水準の違いが効いてきます!
大切なことは、磨く時間ではなく、すみずみまできれいに磨けているかどうかです。3種類の歯ブラシを使ってしっかり磨くと、より時間がかかりますが、上手に効率よく磨ければ、それだけ、短時間で終えることができます。
適切な歯磨きができているかかどうかは、歯医者さんでご確認頂くようお勧めします。
磨けば磨くほどよい? 長く磨くほどよい?
お風呂につかりながら、とか、テレビを見ながらとか、でも長時間歯磨きした方がよい、と言われることがあります。しかし、当院では、それはお勧めしていません。
良い歯磨きとは、<①プラークがすみずみまで落とせている、②歯磨きそのもので、歯や歯肉を傷めない、歯肉を押し下げない>ができている歯磨きです(前の院長ブログを参照下さい)。①ができていると、歯磨きの効果は、最大限に発揮されます。プラークをしっかり落としてしまったら、それ以上落とすものはありません。そこをさらに磨き続けていると、②の弊害が出てくることが気にかかります。
お風呂につかりながらなど、何気なく長時間磨いていると、磨き易いところばかり繰り返し磨いて、歯ブラシの届きにくい所は抜かしてしまうかも知れません(結果的に上の①と②ができていればよいのですが)。歯磨きの際は、<鏡をみて歯ブラシの位置を確認しながら、特に磨きにくい所に注意して、集中して磨いて頂き、すみずみまでプラークが落とせたら、そこで終わりにして下さい>とお勧めしています。