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東京医科歯科大学口腔外科の講習会に参加しました。薬剤関連性顎骨壊死(MRONJ)についての最新の知見

[2016.06.22]

こんにちは。冨岡歯科医院 院長 冨岡栄二です。

2016年5月22日、東京医科歯科大学口腔外科の講習会に参加しました。その時々の口腔外科分野のトピックについて、連携をとっている診療所に対して開かれている講習会で、最新の情報を知ることができます。

今回は、「薬剤関連性顎骨壊死(MRONJ)を防ぐためにー最新の知見と治療法についてー」ということで、口腔外科の樺沢勇司先生からご講演頂きました。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)から、薬剤関連性顎骨壊死(MRONJ)へ

骨粗鬆症や骨量が減少する病気、がんの方などの治療で、ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)という薬がよく使われます。近年、BP製剤を使用している患者さんが、抜歯などの侵襲的歯科治療を受けたあと、傷が順調に治らず顎骨壊死 をおこし、治らない状態が長く続いてしまう場合があることが問題となっています。BP製剤との関連でおこる顎骨壊死ということで、Bisphosphnate-Related Osteonecrosis of the Jaw、BRONJと呼ばれていました。

最新の知見では、ビスフォスフォネート製剤だけではなく、骨吸収抑制剤やデノスマブなど、他の薬剤も顎骨壊死との関連が見られるということで、Medication-Related Osteonecrosisi of the Jaw: MRONJ と呼ばれるようになっています。

 なぜ顎骨壊死がおこるのか?

なぜ、顎の骨に壊死がおこるのかは、以下のことが考えられます。

1、薄いお口の粘膜が、咀嚼などで傷を受けると、感染が直下の顎に広がる。

2、お口の中には、多くの口腔内細菌がいる。

3、歯と関連した感染が、顎の骨に波及しやすい。

4、抜歯などの侵襲をともなう歯科治療により、顎の骨が直接お口のなかに露出して感染しやすい。

従来のBRONJに対するの考え方は、、、

BP製剤を使用されている方に対しては、従来、以下のことが言われてきました。

1、出来るだけ抜歯を避ける。

2、抜歯などの外科処置が必要な場合は、少なくとも3か月間薬を止める、他のタイプの薬に変える、などをしてから行う。

3、歯磨きをきちんとしていれば、顎骨壊死はおこらない。

4、もし、顎骨壊死がおこってしまったら、治る、治すのがとても難しい。

<BRONJからMRONJへ>だけでなく、アプローチの仕方が変わってきている!!

 薬物関連性の顎骨壊死の状況や、治療について、だんだん様子が分かってきており、下の様に考えが変わってきているようです。

1、抜歯などの外科処置の後だけに限らず、歯の周りに化膿、炎症、があると、外科処置をしなくても顎骨壊死がおこる場合があります。無理をして良くない歯を残しておくのが、必ずしも良いとは限りません。

2、顎骨壊死がおこっても、重症でなければ、治療と経過観察で、治癒に至らせることが一定の割合で可能です。

3、使用中の関連薬剤を必ず止めなければならない、とは限らず、場合によっては、継続したままの処置も考えられます。

4、歯磨きを良くしていれば良いというわけではありません。

いずれにしても、要注意!

薬剤関連性の顎骨壊死について、以前より様子が分かってきています。しかし、確率は高くないとはいっても、特に重症になると、やっかいな長期戦になっていくこともあり、こういった事がおこる可能性があることは、しっかり頭にいれておかねばなりません。歯の治療にあたっては、できる配慮はしないといけませんし、どういう考えで進めるか、歯科医師と患者様で、良く話し合っておくことが大切なことには変わりありません。

 

 

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