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歯が抜ける?怖い歯周病、歯磨きしているのに治らない?歯周病を治す歯磨きとは?⑦ 1日に何回磨けばよい?

[2015.11.29]

 

こんにちは。冨岡歯科医院 院長 冨岡栄二です。

 歯周病を治すための良い歯磨きについて、歯磨きの基本的考え、どのような歯磨きが良い歯磨きか、など、今までの院長ブログでお話してきました。

今回は、1日に何回歯磨きするとよいのか、考えてみます。1日に3回、もしくは、できるだけ回数多く磨くのがよいのでしょうか?もしくは、もっと少ない回数でもよいのでしょうか?

歯磨きは、1日に何回磨くとよい?

 患者様にはこのようにお願いしています、「1日に2回は磨いて頂き(通常朝と夜)、そのうちの少なくとも1回は、磨き残しのない理想的な歯磨きをお願いします。歯磨きの際は、フッ素入りの歯磨き粉を使ってください。」。

 それは何故か、お話します。

歯周病とは、「歯肉に腫れがある」ことが問題

 そもそも、歯周病は何が問題かというと、「歯肉が腫れている(炎症をおこしている)」ということです。歯肉の腫れがなくなると、歯肉の状態はよくなっている、ということです。こまかなことはさておき、歯肉に腫れがある状態を<歯肉炎>と呼びます(厳密なお話ではありませんが)。<歯肉炎>があることが問題なわけですから、<歯肉炎>を起こさないためには1日に何回磨けばよいか、<歯肉炎>を改善するためには、1日に何回磨けばよいか考えてみます。

<歯肉炎>を起こさないためには、1日に何回磨けばよい?

 <歯肉炎>を起こさないようにするには、どのぐらいの回数歯磨きをする必要があるか、スイスのLang先生が、1973年に実験しています。Lang先生は、私の恩師Lindhe先生と並び立つような、歯周病学の巨頭です。Lang先生は、歯肉が健康な歯学部の学生さんを集めました。歯学部の学生さんですから、実験に参加するにあたっては、しっかり協力してくれます。学生さんたちは、4つのグループに分かれて、さまざまな間隔で歯磨きをしました。①1日に2回、②2日おき、③3日おき、④4日おき、の4通りです。そして、6週間歯肉を観察しました。何がおこったでしょうか。グラフをご覧ください。

 横軸は、時間経過(実験開始から6週目まで)、縦軸は、上にいくほど<歯肉炎>がおこっているということです。 4本の折れ線は、下から、①1日に2回、②2日おき、③3日おき、④4日おき、の結果です。①と②のグループでは、<歯肉炎>がおこっていません。③と④のグループでは、だんだん、<歯肉炎>が強くなっています。この実験では、2日に1回磨けば、<歯肉炎>を防げることが示されています。

 では、2日に1度磨けばよいでしょうか?ここでとても大切なことは、この実験での歯磨きは、磨く間隔はいろいろでも、磨くときは<完全な歯磨き>がされている、ことです。歯学部の学生さんが、ばっちり歯磨きをして、なおかつ、実験をしている先生が厳しくチェック、しています。<完全な歯磨き>とは、歯のぐるっと全周のプラークがきちんと落とせている歯磨きです。

 実験ではなく、現実の世界ではどうでしょう。歯磨きがとってもすばらしい患者様では、この水準の歯磨きを継続されています。しかし、実験と同じことを日常的に長く続けるのは、なかなか厳しい面もあります。お口のリフレッシュの意味や、習慣として妥当な水準、1回の歯磨きを補完する意味で、1日2度の歯磨きをお勧めします。

<歯肉炎>を治すのには、1日何回磨けばよい?

 上でお話したのは、健康な歯肉を保つ場合のお話です。では、<歯肉炎>の状態から、それを治すには、どの程度の回数磨いたらよいでしょうか。Bosman先生とPowell先生が1977年に実験しています。この実験でも、歯学部の学生さんが集められました。実験的に<歯肉炎>をおこし、そこから、A.1日に1回、B.2日に1回、C.3日に1回、D.4日に1回、歯磨きを始めました。

 

 グラフで、横軸は、歯磨きを始めてからの日にち、縦軸は、<歯肉炎>の程度で下にくるほど、<歯肉炎>が良くなっているということです。 A~Dのグループの結果が、折れ線で示されています。”CONTROL"は比較のために、実験にふくまれなかった歯の歯肉の様子です。AとBのグループでは、<歯肉炎>が改善しています。2日に1回、しっかり磨けていると、<歯肉炎>が改善しています。

 ここでも、「磨いた時にしっかり磨けていることが大切」なことは、上の<歯肉炎>を起こさないための実験の場合とかわりありません。

 

回数多く歯磨きするほどよい?

 歯磨きの回数と歯肉の状態の関係も調べられています。言われていることは、歯磨きの<回数>よりも、<質(すみずみまで良く磨けているかどうか)>の方が、歯肉の状態により関連しているということです。<歯肉炎>の関連では、1日に何度も歯磨きしていても、どれもがおおまかな磨き方で、磨き残しがあるよりは、1日1回でも、すみずみまでしっかり磨けているのが大切です。(1日に2回以上磨かない方が良いということではありません。前のブログでお話した、過剰な歯磨き、にならないようにするのも気をつけた方がよいです。)

すみずみまで磨くには、歯間ブラシが必須です。

むし歯予防も考えないと!

 むし歯のおこる仕組みは、歯周病とは違います。いろいろなものを口にしたとき、ばい菌が酸をつくって、歯を溶かしていくのがむし歯です。できれば、毎食後の歯磨きをお勧めします。ただし、昼食後などは、しっかり歯磨きするのは、難しいのが現実かもしれませんね。

 むし歯予防のための歯磨きの点でも、歯周病の場合と同じようなことが言われています。単純な回数だけでなく、どれだけ磨き残しなく磨けているかが大切です。

 フッ素には、歯の質を強くして、むし歯を予防する効果があります。歯磨きの際は、フッ素入りの歯磨き粉を使って頂き、歯磨き粉がしっかり歯の表面に行き渡るように磨いて下さい。

総合して考えると、、

上のことを総合して、習慣的にも適当と思え、お口の中をフレッシュに、1回の歯磨きを補完する、ということを含めて、「1日に2回は磨いて頂き(通常朝と夜)、そのうちの少なくとも1回は、磨き残しのない理想的な歯磨きをお願いします。歯磨きの際は、フッ素入りの歯磨き粉を使ってください。」とお勧めしています。

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