歯周病と修復治療の関係
患者様のなかには、1本1本の歯の支えが非常に減ってしまい、多くの歯がグラグラしてしまっている方がおられます。そのような時、特に修復治療(被せる治療)をしなくて良い場合と、被せものをして歯と歯をつなげて固定する修復治療(連結固定)をした方が良い場合とがあります。進んだ歯周病の歯でも、正しい判断をして、良い治療を行えば、長く歯を残すことが可能です。
まずは、歯肉の状態をしっかり良くすることが大切です!!
歯周病の状態が良くないままでも、歯と歯を連結固定すると、一時的に、しっかり良くなった感じになるかもしれませんが、それは見かけで、連結固定で歯周病が良くなることはありません。歯周病がきちんと治療されていないと、歯周病が進行してしまう危険度は高いです。歯周病は、プラーク(歯につくばい菌)が原因で起こることです。連結固定をするとプラークがなくなる訳では決してありません。まず、歯周病の治療をきちんとし、歯肉の状態をしっかり良くすることが大切です!!歯周病治療の後に修復治療をする、が順番です(必要な場合は、治療中に使う暫間の歯を作り、あとで最終の歯に入れ替えます)。
連結固定をしなくても良いのはどんな時?
歯周病が進行して、1本1本の歯がゆれていても、下のような場合は、連結固定をする必要はありません。
- 快適に食事ができる。
- 咬む力で、歯が脱臼したり、傷んでしまったりする危険がない。
- 時間とともに、歯が傾いたり、歯と歯の隙間があいてきたりして、徐々にかみ合わせが崩れてこない、もしくは、その危険がない。
歯をつなげて固定するためには、歯を削って被せる必要があります。特に、まだ被せていないきれいな歯を削って被せるのは、安易におこなってはいけません。やみくもに、連結固定すれば良い訳ではありません。
連結固定をした方が良いのはどんな時?
歯周治療をきちんとして、歯肉の状態が良くなった後に、下のような状態がある時は、連結固定を考えた方が良いです。上の1~3の反対の状態です。
- 歯がぐらついて、患者様ご本人が、安心して、快適に食事しにくい。
- 1本1本の歯が相当ぐらついていて、咬む力に耐えられず、脱臼など歯が傷んでしまう危険がある。
- 時間とともに、歯が傾いて来たり、歯と歯の隙間があいてきたりして、徐々に全体の咬みあわせが崩れてくる、もしくは、その危険がある。
このような場合は、歯と歯を連結固定して、歯並びの安定をよくするのが好ましいです。不安定な状態をそのままにして、食事に差支えるとか、歯が傷んで抜くことになってしまうと、歯を削る、削らない、のお話しではなくなってしまいます。歯肉の状態がきちんと良くなって、安定した咬みあわせが保たれる状態できちんとメインテナンスすると、歯が長持ちします。歯を守り、抜かずにすむようにするため、連結固定した方が良い場合があります。
正しい知識、判断と技術が大切です!
連結固定をしないにしても、するにしても、歯の持ち具合にかかわることですから、正しい知識にもとづいて、正しく判断し、しっかりした技術で治療を受けて頂くことが大切です。
歯周病が進行した歯をきちんと治すだけでなく、大きく揺れる歯を削ったり、治療中、暫間の歯で安定した状態をきちんと保ったり、揺れる歯の型取りをしたりして、最終的に適合の良い修復物を作るためには、歯科医師の高い知識と技術が求められます。
こういった治療では、歯科医師だけでなく、精度の良い修復物を作れるかどうか、歯科技工士の力量も重要となります。
歯周病治療と修復治療の両方、そして、メインテナンスを正しく行うと、歯の長期保存が可能となります。